有志オーケストラによりミリオンライブ曲の演奏会を行う企画「Live The@ter Orchestra」(以下、LTO)。
第1回として*12025年10月5日に川崎市で演奏会を開催したのですが、こちらに演奏者(トランペット)と編曲者(Brand New Theater!)で参加していました。
何とか編曲を完了させるとともに、演奏も準備して実施でき、なかなか大変でもあり反省点もありますが達成感も大きかったです。
- 前編:引き受けてから当日までの流れ、全体として思ったこととか
- 後編(いまここ):編曲のこだわり・学んだこと、演奏して思ったことなど
#LTO_01 #ミリオケ
— 導線 (@dousenP) 2025年10月5日
ここが私たちのステージです! pic.twitter.com/iv60qrPs0Z
【演奏会情報】
— Live The@ter Orchestra (@LTO_Orchestra) 2025年10月5日
LIVE THE@TER ORCHESTRA CONCERT 01 カラフルにあらぶるオーケストラ!
無事に終演致しました。ご来場いただいたプロデューサーの皆さまありがとうございました。本日のセットリストはこちら👇
演奏動画は後日配信予定です!!
#ミリオケ #LTO_01 pic.twitter.com/6beYhbAypw
編曲について
反省点とか学んだこととか
前編でも書きましたが、これまで自分の編曲は完全に我流だったので、今回「他のメンバーに譜面を見ていただいた上で修正する」となったとき、そもそも自分で頭になかったことをちゃんと考えることを求められたりして大変でした。自分で理解したうえで修正しようと頑張ったのも大変なところでしたが、そのぶん勉強もできたと思っています。
- ベース音は早いうちに固めておいたほうがいい
- 自分はこれまで、「メロディやその他主要な音の流れを書き起こす」ことをしたら、そこにすぐに和音を重ねたりしていたのですが、ここで和音を重ねるときに感覚で書いていた箇所が結構あり(原曲に沿っているかではなく、その書いた音だけ見たときに自然かだけを見ていた)、そうすると「実は原曲とコードが違っていた」ということが多発していました。
- それを書いたあとにベース音を後付けしていたのですが、自分で聞いていても不自然さに気づけなかったというのが大きかったです。
- ベース音は先に固めておくと(原曲に合わせるなら耳コピしておくと)よいとアドバイスいただいたのですが、確かにそれによって可能性のある和音はだいぶ限定できるので、間違いも減らせるのはその通りだと感じました。
- 自分はこれまで、「メロディやその他主要な音の流れを書き起こす」ことをしたら、そこにすぐに和音を重ねたりしていたのですが、ここで和音を重ねるときに感覚で書いていた箇所が結構あり(原曲に沿っているかではなく、その書いた音だけ見たときに自然かだけを見ていた)、そうすると「実は原曲とコードが違っていた」ということが多発していました。
- 和音を重ねる数を調整することも一つの技術
- 私は和音をどんどん重ねがちだったのですが、「3和音まで組まないで2和音にとどめる」とかも一つの雰囲気の出し方である、というのは思いました。今回は「原曲が2和音ぶんしかないところが3和音になっている」などの指摘だったのですが、そもそもとにかく重ねるというのも考えものなんだな、というのは実際思いました。
- 自分の編曲が合奏されたのを聞いていて、実際のところ他の方の編曲と比べて「メリハリが小さいのでは」というのは感じたところでした。ここが結構理由としてあったように思っています。
- 同じ音階の差であっても、低音ほど音は離さないと響きが悪くなる
- 「ロー・インターバル・リミット」というとのことです。純粋に知らなかったので注意して割り振るようにしました。
- 弦楽器は管楽器に比べて、演奏し続ける量が多くてもよい
- これは純粋に知らず(当初は管楽器と同等の休みを設けていた)、指摘を受けて配分を見直すとなったときにかなり書き直し量が多かったです。
- 打楽器の入れ方はかなり悩んだ
こだわった点
- 1番のサビまでの間は、メロディの楽器の割り振りをミリシタのMVのイメージに合わせていました。
- これは自分の経験上というのがあるのですが、メロディの開始場所や、その他の主要な音を演奏する直前には、別の流れの演奏(伴奏など)は入れず、必ず間を空けるということは絶対のルールとして入れていました。確実に良い音を出してほしい箇所は万全の状態でいてほしい、という思いがあります。
- 「この箇所にはこの楽器が合うから、間は空けずに演奏してもらう」という譜面が書かれる場合もありますが、自分は受け持つ楽器を変えてでも前記のルールを優先していました。
- ちょっと考える必要があったのが、2番のサビの直後にあるCメロ(「きらめく星たちが今」~の部分)でした。
- Cメロは16小節×2周という構成になっているのですが、Cメロの冒頭は直前のサビから歌唱が繋がってるので演奏楽器を変えると雰囲気が微妙になり、またCメロの1周目と2周目の間も同様に歌唱が繋がっています。
- しかもこの箇所は、(弦楽器は原曲のイメージからすると伴奏に入ってほしかったので)メロディは管楽器に任せたかったのですが、管楽器は弦楽器よりも演奏し続けるのが大変なので、全部ずっと演奏してもらう長さではないと考えていました。
- で、どこかで管楽器の演奏の切れ目(楽器の切り替え)を入れる必要があったのですが、1周目の9小節目(「とめられないこの衝動」の部分)の前と、2周目の9小節目(「涙こらえあとちょっと」の部分)の前にするのがよいと判断しました。そのうえで、1周目の1小節目~8小節目は木管楽器とホルン、1周目の9小節目~2周目の8小節目はホルンを除く金管楽器、そして2周目の9小節目で木管楽器とホルンに戻す、という配分にしました。これで演奏量と原曲の雰囲気を何とか両立しました。
パンフレットに書いた編曲者からのメッセージ
来場者に配布するパンフレットに、各演奏曲について編曲者からのメッセージを掲載したのですが、その抜粋を載せておきます。
2017年6月29日のミリシタのサービス開始は、「765プロに新しく自前の劇場ができて、そこで公演をしていく」という新たなシーンの始まりでもありましたが、それを彩った新曲が「Brand New Theater!」でした。新しい劇場の開場を祝うような華々しさ、ファンファーレらしさを感じる曲だと思っており、これをぜひ合奏で聞きたい!というモチベーションから編曲を始めました。
全曲の雑感
- 曲全体のことを書いていたり、難しかった点を書いていたりと様々です。
- ミニコンサートは自身の演奏曲のみ書いています。
第1幕 カラフルステージ
- #1: Rat a Tat!!!
- 開幕を彩ろう!という気持ちとともに、観客の方々を目にして、そこに届けよう!という気持ちで始められました。
- 間奏のリズムを覚えるのに苦戦して、9月の自主練(前編を参照)でかなり聞き込んだ曲でした。
- ラスサビの前に一度転調を挟む箇所(「きらめけ世界!」の箇所)のメロディはトランペットにも割り当たっていたのですが、ここが演奏していて本当気持ちよかったです。
- #2: 咲くは浮世の君花火
- トランペット1stにもちろんめちゃくちゃ高い音が割り当たるだろうな…という曲で実際にそうなってました。自分には1stは無茶でした…(2ndを持ってました)
- #3: 月曜日のクリームソーダ
- #4: 花ざかりWeekend✿
- どちらも、曲は聞き込めているし楽しいしノリで行けるかなあと思っていたら、運指が難しくてその練習がかなり必要だった曲(どちらもトランペット3rdで低い音が多かったこともあり)。本番ではノリで押し通していた気がするけど、それも練習していたからこそではあったと思ってます。
- #5: わたしは花、あなたは太陽
- トランペットは終盤だけ出てくるという編曲になっていた譜面。しかしそのぶんしっかり決めないとならない緊張感で大変でした。
- しかもラスサビの一番最後のフレーズ(「あなたともっと素敵な世界へ」の箇所)はトランペットが一番目立つという編曲になっており、ここは何が何でも決めないとならなかったのでさらに緊張するところでした。何とかできてよかった…担当曲でもあったし
- #6: オレンジノキオク
- 夕焼け空のような明るさを、トランペットで出すことが求められているのかなと感じられた編曲でした。実際、意識して演奏していました。
- #7: Clover Days
- トランペットソロが2か所あったのですが、そのうち冒頭のもの(「いっしょに笑っていようよ」の箇所)を引き受けました。
- しかしここはトランペットとしては音が低めで難しいところであり、練習してはいたのですが、音量が出切らないという結果になってしまいました…音を外すのは回避しましたが、無理やり息を入れて音を出しているような状態でした。ここ本当無念。担当曲でもあったし
- 編曲で特徴的だったところとして、トランペットは「大部分はユニゾンなのだが、ごく一部で分かれる」というのがありました。「局所的にしっかりハモる」というのが震えるところでした。
- トランペットソロが2か所あったのですが、そのうち冒頭のもの(「いっしょに笑っていようよ」の箇所)を引き受けました。
- #8: 夢にかけるRainbow
ミニコンサート
- 永遠の花
第2幕 オーケストラステージ
- #9: Unknown Boxの開き方
- そもそもの曲が難しく(テンポも拍子もころころ変わる)、最初の練習では「これみんなでうまく揃えて合奏するのめちゃくちゃ大変そう…」と思ったのですが、聞き込めばちゃんとできるんだなというのを感じられた曲でした。
- あとこの曲が確か、自分が受け持った中では最高音を出した曲でした(トランペット1・2にHigh-Cまであった)。自分はHigh-Cは安定しないこともあり希望から外してはいたのですが、これだけは受け持ちました。何とか出てよかった
- #10: Parade d'amour
- これはトランペットはとにかく役割が楽しい箇所を受け持っている編曲でした。メロディではないのですが、伴奏の大事なところをできて。自然と音もしっかり出せていました。
- #11: 銀のテーブル木苺ジャム(降り番)
- #12: 昏き星、遠い月(降り番)
- この曲も私は降り番でした(トランペットが2人指定の編曲だった)。トランペットは要所にだけ現れるという編曲なのですが、感情の盛り上がりを出せるところに割り当たっていて、感激しながら聞いていました。
- 曲全体の特徴的な箇所として、実際の曲だと「どうして、オレたちを殺そうとするんだ!?」という台詞が入る箇所については、台詞は入れず、代わって全楽器が一瞬音を止める(音楽用語では「ゲネラルパウゼ」)という編曲がなされました。とてつもない緊張感が発生していました…
- #13: 瞳の中のシリウス
- これも「わたしは花、あなたは太陽」同様、トランペットは終盤だけ出てくるという編曲になっていた譜面でした。しかしそれと違うのはトランペットが1人指定だったこと。これを私が受け持ちました。
- 音が出るかも緊張ポイントだったのですが、入る場所を間違えられないというのも緊張ポイントでした(似たフレーズが繰り返しになる箇所というのもある。現に練習では間違えたことがあった)。何とかできてよかった…
- これも「わたしは花、あなたは太陽」同様、トランペットは終盤だけ出てくるという編曲になっていた譜面でした。しかしそれと違うのはトランペットが1人指定だったこと。これを私が受け持ちました。
- #14: Glow Map
- これ自分にとっては思い出ボム曲だった(これがテーマ曲として機能していた、2021年5月の7thLIVE「Q@MP FLYER!!! Reburn」をDay2は現地で見られていた)のですが、そのときに感じた曲の力強さや明るさを思い浮かべながら演奏していました。
第3幕 あらぶるステージ
- #15: ジャングル☆パーティー
- この曲は、MCによる曲振りがミリシタのコミュをもとにしていて、観客もそこで身構えたのではないかと思ってます。演奏が始まると、全体の曲の雰囲気が楽しすぎて、まさにノリノリで演奏してました。
- 「ウンババウッホッホ」を口頭で言う箇所も設定されていて、思いっきり言ってました。「実は原曲ではこう言っている、というのを解説する会」(下記)が設けられるほどの力の入れようでした。
直後のトランペットの演奏の支障にならないようにすることは気を付けていた
- #16: 海風とカスタネット
- 練習時期で苦戦していた曲のひとつで、地味にリズムが覚えにくかったです…たぶん自分が曲の聞き込みが足りてなかったせい。担当曲なんだからもっと聞こうよという話である
- 聞くだけだとなかなか覚えられず、かと言って演奏しても覚えられず、一度「自分のパートを口ずさむ」ということでリズムに慣れてから演奏するとできるようになりました。
- 練習時期で苦戦していた曲のひとつで、地味にリズムが覚えにくかったです…たぶん自分が曲の聞き込みが足りてなかったせい。担当曲なんだからもっと聞こうよという話である
- #17: Do the Idol!!~断崖絶壁チュパカブラ~
- 原曲がそもそも音の使い方が大変なことになっているわけですが、その使い方を合奏でも楽しめる編曲になってました。不協和音までも楽しかった。
- 聞いてて楽しかったのは、序盤の台詞パート(「私たちはチュパカブラです」からの箇所)の伴奏。重低音の効いた音を合奏で聞くのは素晴らしいものでした(なおトランペットはこの範囲は休符でした)。あと台詞はMCの方々が担当してました。
- 原曲がそもそも音の使い方が大変なことになっているわけですが、その使い方を合奏でも楽しめる編曲になってました。不協和音までも楽しかった。
- #18: ピコピコIIKO!インベーダー
- これもまたノリノリで演奏できる曲でした。ただ各所でトランペットの出だしがかなり目立つようになっていたので、そこでしっかり音を出せるかが不安事項でした。
一部で音が出切ってなかったな…
- これもまたノリノリで演奏できる曲でした。ただ各所でトランペットの出だしがかなり目立つようになっていたので、そこでしっかり音を出せるかが不安事項でした。
- #19: 俠気乱舞
- #20: バトンタッチ
- これはまた、トランペットの出番が少ないがゆえに緊張する、という編曲でした。サビ末尾の「勇気くれるから」はトランペットはメロディ担当だったのですが、音の上下の跳躍が結構大きく、気を払ったところでした。
- #21: REFRAIN REL@TION
- これはもともと泣き曲なのですが、その感じが活かされた編曲になっていたこともあり、実際のところ前日リハでは曲の終盤で泣きそうになって、演奏に力が入らなくなり大変でした。そのときは次の曲との間にMCがあったので何とか立て直しましたが、本番では「泣いても演奏できる力は落とすな」と心に決めて演奏してました。
- また、おそらく練習の段階で「これが一番できないかもしれない」と思って、個人練習で力を入れていた曲でした。個人練習でちゃんと覚えられて演奏できたときはほっとしました。
- この曲は今回で唯一の、トランペットが4パート存在する編曲でした。基本は2パートずつ同じ動きをするという構成なのですが、4パート全部違う動きをする箇所もあったりしました。
- そのうえこれも自分の聞き込み不足もあってリズムが覚えられず、低音側を持っていたので運指も結構難しかったというのもありました。
- #22: Brand New Theater!
- これは自分の編曲だったこともあり、生産者責任でしっかり演奏しなきゃ、と演奏してました。難所もいくつかあったけど無事できてよかった…
- 一点心残りとしては、トランペット1stの楽譜内に2か所「8va opt」(1オクターブ上げられるなら上げる)を付けていたのですが(なおどちらも、最高音はHigh-Bである)、ここを上げて演奏するだけの余力が自分には残っていませんでした。トランペット1stのメンバーのうち、いぬのひとさんは上げて演奏してました。ありがとうございます…
- これは自分の編曲だったこともあり、生産者責任でしっかり演奏しなきゃ、と演奏してました。難所もいくつかあったけど無事できてよかった…
アンコール
- #23: UNION!!
- これも泣き曲なのですが、この曲から受ける感激を伝えたい!という気持ちで演奏していました。しかしアンコール1曲目としてぴったりすぎませんでしたかね!?
- 裏打ちで入るところのリズムが覚えにくい箇所があり、個人練習で結構時間を取っていました。
- #24: Thank you!
- 明るく演奏できればよかったなと思いつつ、最後の最後だったことで疲労も蓄積しており、演奏でいっぱいいっぱいになってしまっていました。ただそれでも、観客席を見られるときは見たりして、感謝の思いを持ちながら演奏していました。
おわりに
ミリオンライブ曲に編曲者それぞれが思ったことを乗せて作られた楽曲を多数演奏できたのは楽しかったです。
私の編曲では、今回は基礎的な面での修正対応で手一杯で、思いがしっかり見せられるというほどの編曲はできなかったのですが、今後編曲するときはもっと工夫とかもできるのかな…?
*1:第2回の開催については、あるかどうかも不明ですが前向きに検討しています(演奏会の最後の告知におけるアナウンス)
